■可塑剤の熱特性について

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■可塑剤の熱特性について
以前、ラッピングシートの主な原材料は塩化ビニール樹脂で、柔軟性を持たせるために可塑剤が入っている旨の説明をしました。今回は、塩化ビニール樹脂内の可塑剤の熱特性についてお話したいと思います。可塑剤は、温めると分子運動が激しくなるため、結果して塩化ビニール樹脂が柔らかくなります。ここまでは以前お話した内容と同じになります。

ラッピングシートを対象面に貼付した後にシートの温度が上がったり下がったりした時に何がおきているのでしょうか?

ヒートガンやドライヤーを使用してシート表面を温めながらシートを貼付しますが、この時、シワや気泡が入らないように引っ張りながら貼付することが多いかと思います。温めたシートは非常に柔らかくなるので引っ張ると伸びてしまいます。

引っ張ぱられて伸びた状態のままで施工面に貼付されると、施工終了後、温度が冷えてくれば施工面に接着した落ち着いた状態を維持できますが、外気温などが高くなった際、シート内の分子運動は活発になり、シート内では施工対象面に接着剤でくっついている力とシート内の可塑剤の分子運動の力とで綱引きの状態が発生します。可塑剤の分子運動の力が接着力よりも勝ってしまった場合、剥がれるという状況が発生します。

シートは施工面に接着してから24時間後に固化するため、貼付後は接着剤の強度があまりありません。このため、施工後、次の日に剥がれたりということがあります。また、綱引きの状態を何度も繰り返すことで剥がれるということもあります。

これを防ぐためにはシートを温めた際、伸ばしすぎないように貼付するということと施工後にポストヒーティングを実施するということです。ポストヒーティングについては次回ご説明させていただきます。

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  • kurikimasaru