5D・6D・ハイグロス系の熔化(ようか)について
今回は、前回ご説明した「5D、4Dハイグロス、6D系のラッピングシートの水分侵入」に次いで問い合わせの多いラッピングシートの熔化(ようか)についてです。
「施工前には、何も問題なかったのに、施工後に(添付写真のような)模様が発生している。」
「施工中は気づかなかったが、施工後、一夜明けたら、変な模様になっていた。初めから模様がおかしいのでは?」
といったお声をいただくことがあります。
施工後、ラッピングシートが添付写真のような状態になっていれば、概ね熔化が発生しています。熔化とは、熱で溶けて形がかわることを指します。
5D・4Dハイグロス・6D系のラッピングシートは、表面のクリア層と下地の柄層を圧着した2層構造になっています。ラッピングシートを施工する際、ヒートガンなどで温め、施工しますが、温めすぎてしまうとクリア層と下地層の間で熱が滞留し、クリア層が内部で溶けてしまいます。
写真は、クリア層が内部で溶け、液状化し、施工後、クリア層内部での温度が下がり固体化した画像です。ヒートガンで施工中は、熱がクリア層と下地層の間に滞留し、圧着した2層の間では熱の逃げ場がないため、長時間温めるとクリア層の内部が溶け液状のまま残りやすいです。
施工直後は、液状だとラッピングシートの見た目は、何も異常がないように見えますが、内部の温度が下がってくれば、固体化するため、添付写真のようなうろこの模様になってしまいます。
施工時の外気温や使用されるヒートガンなどによっても内部に滞留する熱の温度が変化するため、一概にどのくらいの温度で施工してくださいとお伝えすることは適いません。施工推奨温度は、80~90℃のため、表面温度計などで表面温度を測定することはできますが、内部で滞留した温度は測定できないため、表面の温めすぎには注意する必要があります。
この熔化を避けるには、いきなり本施工ではなく、A4ぐらいの大きさのラッピングシートで自分の施工用具や現在の気候などでの施工した場合、どのくらいで熔化が発生するか一度、テスト施工することを強くお勧めします。
- kurikimasaru